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2008年分
1月 2月 3月 4月
5月 6月 7月 8月
9月 10月 11月 12月

■2008年8月
2008年8月15日
シン政権は国民の負託に応えよ

 印米民生用原子力協力協定の可否を巡るマンモハン・シン内閣への信任投票は7月22日、下院で実施され、賛成多数で可決された。

 これは与党連合・統一進歩同盟(UPA)の明らかな勝利であり、まずは歓迎すべきだろう。

 だが下院では、最大野党インド人民党(BJP)の3議員が、「与党から買収話を持ちかけられた」として、渡されたとする札束を振りかざして議場に現れる一幕もあった。

 チャタジー下院議長には不正疑惑の速やかな徹底調査を求めたい。国会に対する国民の信頼を回復するには、それが不可欠である。

 内閣が信任されたことで、米国との原子力協定の締結、発効に向けたスケジュールが、インド側の国内事情でこれ以上遅れることはなくなった。

 長期間にわたってもめた論争に決着が付いたことで、与党連合内部では早期の解散総選挙に打って出ようとする機運も高まるだろう。

 しかし、政府がこの勢いを駆って、進行中の任務を棚上げにし、政権の勢力拡大に乗り出すのは賢明ではない上、政治倫理にも反する。

 政府は選挙への誘惑を振り切り、残された任期を全うして国民の信託に応えるとともに、年金改革や国営企業の政府持ち株売却など、これまで左翼政党の反対に遭って頓挫していた経済改革を再び推進するチャンスとすべきだ。

 そして、BJPが批判するように、現政権が「(原子力協定という)たった一つの課題に手一杯の内閣」ではないことを示さねばならない。(7月23日付エコノミック・タイムズ紙社説)

(INDO WATCHER 133 インドひろい読み)

■2008年7月
2008年7月15日
第一三共がランバクシーを買収

 日本の大手医薬品メーカーの第一三共がインドの製薬最大手ランバクシー・ラボラトリーズを買収することになった。
 インド企業が自社株式を売却する例はこれまでにも多々あるが、今回はその規模において群を抜いている。創業者一族は保有する34.8%の株式の売却で実に1,000億ルピー以上を得た。しかも彼らは株価を釣り上げるような行動はとらずに売却に応じた。創業者一族は、これによって得た資金で金融やヘルスケア・サービスなど傘下の他の事業に集中投資することができるからだ。つまり、今回の取引は双方にとって満足できるものだったのだ。
 第一三共は、インド市場に自らの新製品(新薬)を投入することができるし、ランバクシーの持つ低コストのジェネリック医薬品(後発医薬品)の生産技術によって世界的に通用する競争力も得られる。各国政府の多くは医療費の抑制策を進めており、開発費と製品価格が安価で済むジェネリック医薬品は世界中で注目されている。第一三共はこの市場にも本格参入できることを意味するのだ。このジェネリック医薬品市場での熾烈な競争を勝ち抜くためにも、ランバクシーの買収は最善の選択と言えるだろう。
 先進国で医薬品の売り上げが頭打ちになる中、世界の製薬各社は必死に新興市場を探している。第一三共が多額の資金を投じてランバクシーを買収したことは少しも不思議ではない。
 インドにおけるスズキの大成功は、日本企業のインド進出ブームを呼び起こしたが、今回のM&Aは、日本企業のインドに対する関心が一段と高まっていることを示すものだ。日本企業は、市場が拡大するインドにおいてさらに自らの存在感を高めようとしている。(6月13日付タイムズ・オブ・インディア紙社説)
(INDO WATCHER 132 インドひろい読み)

■2008年6月
2008年6月12日
「製造業のインド」を目指せ

 バジャージ・オートと仏ルノー、日産自動車は5月12日、最低卸売価格2,500ドル(約10万ルピー)の超低価格車(開発名ULC=ウルトラ・ローコスト・カー)の開発、生産を合弁で行い、2011年にインドで発売すると発表した。これはタタ・モーターズによる1ラック(10万ルピー)車「ナノ」に対抗するもので、インド製造業の急速な能力向上を示すものである。
 我が国の国内総生産(GDP)に占める製造業の比率が約16%程度しかないということは実に歯がゆい事態で、雇用拡大のためには、改善していかねばならないポイントだ。
 心強いのは、これら超低価格車が、中国の得意とする単なる廉価版ではなく、コスト削減のために必要な多くの技術革新や新デザインに満ちていることだ。性能や美的センスの上でも妥協を排しており、ひとたび生産が始まれば、製造プロセスにおいてもさらなる革新が見られることになるだろう。
 これによる第一の受益者はもちろん、コスト削減に成功した自動車産業だが、やがて他の製造業も革新や効率改善につながる新たな可能性を見出すだろう。
 超低価格車の開発においては、政府の産業政策も重要な役割を果たしてきた。競争が促されている産業の多くは発展している。その一方で繊維産業のような分野は、国の保護政策によって競争力を失っているように見える。
 だからこそ、われわれにとって超低価格車から学ぶことが重要なのだ。これら自動車の急増が、さらなる大気汚染を引き起こすことは疑いないが、それは公共交通機関のお粗末さを責めるべきだろう。
 超低価格車の開発は、インドの製造業の進歩を世界に知らしめた。われわれは、インドを製造業のハブにするため、この点を徹底的に売り込む必要がある。(5月15日付エコノミックス・タイムズ紙社説)
(INDO WATCHER 131 インドひろい読み)

■2008年5月
2008年5月13日
後進カースト優遇、社会変化に対応した政策を

 インド最高裁はこのほど、有力国立大学など中央政府所管の高等教育機関に「その他後進カースト(OBC)」子弟向けの優先入学枠を設ける「中央政府教育機関留保法」を合憲と認めた。最高裁はその一方で、社会的、経済的に比較的恵まれている一部のOBC(クリーミー層)については留保の対象から除外すべきだ、との判断も示した。
 今回の決定により、留保制度をめぐる論争にはひとまず決着がつきそうだ。しかし、人を社会的、教育的に「後進」と判断する際の唯一の基準をカーストに置くことの是非を問うべき時が来たとも言える。
 カーストは依然として、インドの有力な社会制度であるが、社会や経済の構造変化で、「後進性」に関係する要因は他にもいろいろと浮上してきている。留保制度は、結果の平等よりも機会の平等に重点を置いた差別是正措置であるべきだ。
 以前に比べ、社会構造ははるかに複雑であり、後進性の指標にはカーストだけでなく経済的要因も考慮する必要がある。これが「クリーミー層」という概念にも現れている。
 さらに最高裁は「留保制度は永続的なものであるべきではない」とも指摘している。カーストは元来、職業階層に基づいたものであり、特権や政治的権力は職業ヒエラルキーと密接にリンクしていた。だが、インド経済の構造変化によって新たに出現した職業もあれば消えたものもある。職業に基づいた古典的な社会制度の下の職業ヒエラルキーはもはや無意味となりつつある。公共政策は、こうした変化を認識して決定されなければならない。
 留保枠は、IIT(インド工科大学)など質の高い教育機関への入学機会や就職の不利が背景にあるが、これまでは論争の激しさゆえに、留保制度をめぐる賢明な評価ができなかった経緯がある。(4月11日付タイムズ・オブ・インディア紙社説)
(INDO WATCHER 130 インドひろい読み)

■2008年4月
2008年4月11日
高級ブランド買収で世界に躍り出たタタ・モーターズ

 インドの自動車メーカー、タタ・モーターズが米フォード傘下の「ジャガー」と「ランドローバー」というブランドを23億ドルで買収することになった。タタはこれにより、国内最大手から世界の主要メーカーの仲間入りを果たす。一方で、2社のブランド価値の維持・育成という大きな課題を背負うことになる。
 この買収はタタにとって戦略的に大きな意味を持つ。タタはすでに、伊フィアットとの提携で高い乗用車技術を手にしている。デザインと技術面で妥協することなく製造コストを低く抑えられる自社の能力に加え、タタには自社ブランド乗用車「インディカ」で得た成功をさらに拡大するチャンスがでてきた。10万ルピー車の「ナノ」はその好例だ。
 今回の買収によりタタは、ランドローバーからSUVの高度な技術を、また、ジャガーからは高級乗用車のノウハウを取得。今や、世界で最も安い車から高級車まで、市場全体を網羅するラインナップをそろえたわけだ。
 さて、タタは果たしてジャガーやランドローバーという大ブランドを経営していくことができるのだろか。インド資本となることで2社のブランド価値が落ちるのではないかとの懸念も出ている。
 しかし、タタにはいくつかの成功例がある。傘下のタタ・ティーは買収した英テトリー・ティーをうまく切り盛りし、規模を買収時の2倍にしたし、タタ・スチールによる英蘭コーラスの買収も成功裏に進んでいる。タタ・グループが合併・買収(M&A)後もそれら事業をうまく運営できる能力を持っていることが証明された。すなわち、タタは世界ブランドの成熟した運用者として、すでに十分な名声を確立しているのである。(3月27日付エコノミック・タイムズ紙社説)
(INDO WATCHER 129 インドひろい読み)

■2008年3月
2008年3月13日
印米原子力協力 インドの窮地

 強い議会影響力を持つ米上院外交委員会のバイデン委員長らが2月20日、訪問先のデリーで、米印原子力協定締結の遅れについて、協定案の米議会審議を7月より前に始めないと、現議会で承認を得るのが困難になると説明、インド側に「最後通告」を突き付けた。
 米印原子力協力はシン首相とブッシュ大統領が2005年7月に会談して合意。以来、両国は合意を実行に移すための二国間協定の締結を目指して政治的努力を継続。すでにブッシュ政権は国内法を修正している。
 だが、シン政権に閣外協力する左翼勢力が、協定に頑迷に反対しているため手続きが大幅に遅れている。
 米議会での審議開始は、インドが国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れで合意し、原子力供給国グループ(NSG)において、対インド輸出規制の緩和が認められることが前提となる。インド政府はこれらを向こう数カ月で終えなければならない。
 民主党大統領候補指名獲得を競うオバマ、クリントンの両氏は、共和党のブッシュ大統領による米印合意を支持しそうにないし、共和党の大統領候補となったマケイン氏も前任者がレールを敷いた政策をそのまま踏襲する保証はない。
 この合意における実務面の問題は、米印間のさらなる協議で解決できる、というのが多くの専門家の指摘である。
 反対のための反対をする、といった政治的エゴで合意がご破算になるなら、それはインドの恥だし、不幸なことである。(2月22日付ヒンドゥスタン・タイムズ紙社説)
(INDO WATCHER 128 インドひろい読み)

■2008年2月
2008年2月13日
既存の枠にとらわれない新しい印中関係を

 中国とインドのGDP合計は現在、世界の7%だが、2020年には17%にふくらみ、世界的経済大国になる可能性がある。それゆえ、印中間の貿易や投資は世界経済において重要な意味を持ってくる。
 両国の07年の貿易額は前年比で56%増え、380億ドルに達した。インドは鉄や綿など付加価値の低い1次産品を輸出し、その一方で電気製品、石油化学品などの加工品・製品を輸入することで貿易不均衡が発生、インドの中国に対する貿易赤字は100億ドル近くに膨らんだ。また、投資面からみた両国の関係はやっと緒についたばかりだ。
 インドはこうした不均衡を嘆くばかりではだめだ。すべての経済セクターにおいてナレッジクリエーション(知価創造)に焦点を当て、科学技術や付加価値の相乗効果を追求していく必要がある。タタ・モーターズがこのほど発表した10万ルピーの格安車はその道筋を見せてくれた。しかし、インドが世界クラスの技術革新の拠点になるためには、教育システムの抜本的な改善が不可欠であり、しかもそれが喫緊の課題でもある。
 インドと中国は知識を共有し、技術革新を協力し合うことで投資関係の強化が可能となる。これまで安全保障上の懸念から港湾と通信分野への中国の対印投資は制限されてきたが、その分野を除いたとしても、再生可能エネルギーや地球温暖化対策に向けた技術研究など、両国が技術協力できる分野はたくさんある。印中両国は、21世紀の世界をリードする経済大国として、既存の枠にとらわれない二国間関係を考える時期に来ている。(1月17日付タイムズ・オブ・インディア紙社説)
(INDO WATCHER 127 インドひろい読み)

■2008年1月
2008年1月15日
投資家と経済学者の異なるインド展望

 インド経済の成長は世界中で祝福の対象となっている。海外証券投資(FII)は2007年、170億ドルを超え、株式指数を急騰させた。他方、メディアの中にはインドの好ましくない経済指標を指摘している報道もある。貧困ライン以下で暮らす人々の数や、脆弱なインフラといった内容だ。ここに二通りのインドの存在が伝えられている。それは投資家と経済学者の視点の違いとも換言できる。どちらも部分的には正しい。
 インドのような多様性に富んだ国で統計を取れば、「平均化の法則」が働き詳細が見えにくくなる。銀行家や投資家は実際には、無節操に金をつぎ込むのではなく、成長率の高い産業分野、地域、企業を選択して資金を投入している。これは悪いことではない。例えばインフラはホットな投資対象だが、インフラの改善は経済全体に立脚する基盤を与えるからだ。
 一方、経済学者はどうか。彼らは事象の平均値を取り上げるが、経済を分解検討する能力を欠く。これはミスリードの元だ。経済学者はインドの学生は米国の大学で学ぶ意欲が高いと主張するかもしれないが、学生が志すのはハーバードなどの一流校であり、並の大学ではない。また、海外の銀行が注目するのはインフォシスやランバクシーといった成長企業であり、ありきたりの会社ではないのだ。
 投資家、経済学者のいずれの視点も完全ではない。要はインドのどこに目をつけるべきか、また、どう見るべきか、言い換えれば、分析すべ着目点が何であるかを明確にすることだ。それができる人には、インドという国がチャンスに富んだ国となる。(11月30日付タイムズ・オブ・インディア紙社説)
(INDO WATCHER 126 インドひろい読み)

2007年分
1月 2月 3月 4月
5月 6月 7月 8月
9月 10月 11月 12月

■2007年12月
2007年12月13日
暴力の悪循環に陥った西ベンガル

 西ベンガル州の州都コルカタで21日激しい暴動があり、左翼戦線の州政府が軍の出動を要請した。この暴動は、同州ナンディグラムで進んでいる経済特区建設に反対する政治闘争と、コルカタ滞在中のバングラデシュの女性作家タスリマ・ナスリン氏の国外追放要求が重なり合う形で発生した。
 西ベンガル州は今や暴力的な抗議行動の悪循環に陥った。これでは投資が来なくなってしまう恐れがある。ナンディグラムやコルカタで起きていることはいずれも、左翼戦線によって形成された誤った政治文化でもある。すなわち、左翼戦線が組織的に民意を封じ込め、市民参加型政治を阻害してきたためである。その結果、州政権は民衆の信頼をなくした。州政府が軍の投入を要請したのも警察を信用していないからだ。
 このような左翼戦線の州政権下、原理主義的なイスラム組織やイスラム教徒の利益団体はますます宗教・宗派主義的傾向を強める結果となった。そうした状況では、ナンディグラム(住民の7割がイスラム教徒)での弾圧や州政権によるナスリン氏の保護が、イスラム教徒の目にはいずれも自らの宗教的アイデンティティーへの攻撃と映っても不思議はない。
 野党勢力が左翼戦線に取って代わって、政治的に成功するために心すべきことは何か。それは、西ベンガル州を包括的に捉えた社会に変革する能力を持てるかどうかという点だ。イスラム教徒の利益団体が宗教を利用して起こした抗議行動に便乗するようなことがあれば、野党自身はおろか、州全体までも破滅の淵に追いやることになるだろう。(11月23日付エコノミック・タイムズ紙)
(INDO WATCHER 125 インドひろい読み)

■2007年11月
2007年11月13日
長期資金導入に努力せよ

 ムンバイ証券取引所のSENSEXは17日、寄り付きで1,700ポイント以上、率にして9%を超える急落を記録した。証券取引委員会(SEBI)がこの前日、参加証書(Participatory Notes = PN)をはじめとする幾つかのオフショア・デリバティブに対する規制を提案したことが原因だった。
 PNはSEBIに登録済みの機関投資家が発行するもので、未登録の投資家はPNを通じてインド株に投資ができる。PNを通じた投資は、資金の投入も引き揚げも自由で、かつ匿名性が高い。チダンバラム大蔵相は株価急落を受け、政府はPNに反対しているわけではないとの立場を明らかにし、株価は持ち直した。
 だが、蔵相はこのような発言を行うべきではなかった。
 世界の株式市場へのヘッジファンドの出入りはPNのようなデリバティブを通じて起きているが、ヘッジファンドは株価を吊り上げ、突然引き揚げることで市場を不安定にする。海外機関投資家の資金が流れ込んだことにより、SENSEXはたった8週のうちに14,000ポイントから19,000ポイントまで急上昇した。インドの市場における外国機関投資家の資産残高のうち、51.6%はPN経由だ。このような資金のフローは信頼性に欠けるほか、世界規模のテロの脅威が取りざたされる現在では治安上の問題をも引き起こす。
 もちろん、SEBIは規制を提案するだけではなく、PNを通じた不透明な取引を減らすため、登録規則を簡略化させる必要もある。インドは資本市場の盛り上がりを必要としているが、それは投機的な短期資金によって主導されるべきではない。(10月18日タイムズ・オブ・インディア紙社説)
(INDO WATCHER 124 インドひろい読み)

■2007年10月
2007年10月15日
神話と現実を混同した政治家

 インド・スリランカ間のポーク海峡で進められている水路建設の差し止め訴訟で、インド政府は最近、ルート上の砂州を叙事詩「ラーマーヤナ」に登場するラーマ王が築いた橋だとする原告側主張を否定する供述書を最高裁に提出した。
 この中で、政府側が叙事詩の登場人物が実在したことを裏付ける証拠はないと指摘したことが論争を招いた。だが、これは神話と現実とを政治家たちが混同したことで生じた好ましからざる論争である。重要なのはプロジェクトの採算性、生態系への影響を知ることなのだが、論争はそれとは何の関係もない。叙事詩は史実として読まれるべきではないのに、政治家たちの多くはあえてそうしている。
 ヒンドゥー至上主義の最大野党・インド人民党(BJP)はさっそく、供述書を政争の具にした。政府は問題部分を撤回したが、その際のバルドワジ法相の発言は問題だ。法相は「ラーマ王はインドの文化・精神と一体で、法廷で争われる問題ではない」と述べたのである。BJP がこの問題を利用してヒンドゥー教徒を煽るような事態を避けたかったのだろう。法相は、水路建設の実現可能性は環境や経済的観点だけで判断されるのではなく、神話も考慮に入れるべきとの考え方を間接的に支持したわけだ。残念ながら法相のこのような態度は例外ではない。政治家の多くが宗教問題を前に、迎合主義に徹している。国民会議派は、宗教と国政を混同するような動きに対して、断固とした態度を示さねばならない。個人の信仰を尊重するのは大切だが、それはインド憲法の掲げる世俗主義をないがしろにすることと同義ではない。(9月15日付タイムズ・オブ・インディア紙社説)
(INDO WATCHER 123 インドひろい読み)

■2007年9月
2007年9月14日
新次元に入った印日関係

  安倍晋三首相のインド訪問はインドと日本との新たな関係の幕開けを意味する。そのことは、両首脳が署名した包括的な印日協力の強化をうたった共同声明「戦略的グローバル・パートナーシップへの新次元に向けたロードマップ」に反映されている。
 日本の指導層は今、インドとの関係を新たな段階に進めることに熱心だ。安倍首相がな苦境に立たされているとしても、それは印日関係に影響するものではまったくない。
 共同声明は、政治、経済、安全保障、教育、科学技術、ハイテク貿易、軍縮などの分野における協力を表明。2010年までに二国間貿易を200億ドルに拡大することを目標に掲げ、電力、都市交通、港湾、空港、経済特区(SEZ)などの分野での日本の対印投資を促進する。経済連携協定が今年末にもまとまれば、両国間の経済協力はさらに拡大していくだろう。
 印日関係の長所の最たるものは、二国間に歴史的なしがらみがないことである。むしろ、日本は(太平洋戦争中に)インド国民軍を支援することでインドの独立を助けたとの言い方も可能である。
 日本は戦争の廃墟の中から経済超大国へと奇跡的な発展を遂げ、アジアそして世界における新たな役割を積極的に担おうとしている。急速な経済成長国として頭角を現したインドは日本と地政学的な利益を共有している。安倍首相が提案したインド、日本、米国、豪州の「4極ブロック」の構築による4カ国対話の提唱はまさに理にかなったものである。(8月24日付ヒンドゥスタン・タイムズ紙社説)
(INDO WATCHER 122 インドひろい読み)

■2007年8月
2007年8月13日
インドはムシャラフ支持を明確に

 パキスタンでは軍による首都でのモスク武力制圧に対し、イスラム急進勢力による報復攻撃が激化している。死者は160人を超え、パキスタンとかかわりの深い米国、中国、インドのいずれもがこの状況を憂えている。
 米情報当局は、パキスタン・アフガニスタン国境でアルカイダが再結集していると結論。ムシャラフ大統領が昨年、アルカイダ対策のために同地の武装勢力と結んだ和平協定が機能していないと認めざるを得なかった。
 この重要な時期にインドがやるべきことは何か。パキスタンの将来を冷静に考えた場合、それはムシャラフ大統領やパキスタンの穏健勢力への支持を明確にすることだ。
 インドは20年にわたり、パキスタンからのイスラム過激派の越境テロと戦い、軍事的緊張を続け、そして外交論争を展開してきた。このため、インドの安全保障当局によるパキスタン問題の扱い方には客観性に欠ける面があった。インドにとってパキスタンは変わることのない「ブラックボックス」であり、常に敵対的であるという極めて単純化された考え方が主流で、その上、インド人のパキスタン観は、いつも偏見に満ちている。
 このような偏狭な見方の背景には、インドは所詮、パキスタンの内政変革に影響を及ぼすことなどできないのだという敗北主義者的な考えがある。しかし、真実はそうではない。インドは今、パキスタンの変化の方向性や速度にかつてないほど多大な影響を及ぼすことができる環境にあることを自覚すべきだ。(2007年7月20日付インディアン・エクスプレス紙社説)
(INDO WATCHER 121 TOPICS)

■2007年7月
2007年7月12日
サルマン・ラシュディに英爵位

英政府は6月16日、インド出身の小説家、サルマン・ラシュディ氏にナイトの爵位を授与することを発表した。小説家としてはインド独立後初の叙勲となる。ラシュディ氏は、「非常に光栄に思う。自分の作品がこうした形で評価されたことに感謝している」との声明を発表した。
ラシュディ氏はムンバイ生まれ。2作目の『真夜中の子供たち』が1981年に世界的に権威ある英ブッカー賞を受賞。1988年に『悪魔の詩』を出版したが、預言者の解釈を巡ってイスラム社会が猛反発、イランの最高指導者、故ホメイニ氏が死刑を宣告したため、長期間の潜伏生活を余儀なくされた。
今回の叙勲に対し、イランやパキスタンでは厳しい批判が巻き起こった。イラン外務省報道官は、「イスラム世界で憎悪されている人物への叙勲は、英政府のイスラム教に対する嫌悪感を如実に表している」と非難。
パキスタンでは国会の上下両院で抗議の決議が採択された。下院ではその後、叙勲の撤回を求めた同決議を英政府が聞き入れなかったとして、再び抗議の決議を採択した。
またイジャズル・ハック宗教担当相は下院で、「今回の叙勲のようなイスラム社会への侮辱がテロを誘発する元凶。預言者ムハンマドの名誉を守るための自爆テロが正当化されることにつながる」と述べ、叙勲が撤回されない場合、英国と外交関係を絶つようイスラム諸国に呼びかけた。
他方、インドでは、イスラム教徒の多いカシミール地方で、イスラム過激派やイスラム法学者の呼びかけにより、ストライキや抗議デモが行われた。
(INDO WATCHER 120 TOPICS)

■2007年6月
2007年6月12日
ロンドン観光、インド人は上客

2006年にロンドンを訪れた外国人観光客のうちで、インド人は日本人よりも多くのお金を遣った――英国の観光振興団体「ビジット・ロンドン」が発表したデータから、こんなことがわかった。
それまでの消費金額ランキングでは1位がアメリカ人、2位が日本人だった。2006年も、ロンドンを訪れた観光客数では日本人は23万人で、インド人は21万2,000人。ところが、消費した金額となるとインド人が1億3,900万ポンド(約332億円)であるのに対し、日本人は1億2,300万ポンド(約294億円)だった。
インドの経済ブームを背景に中流層が拡大したことで、インド人が「イギリスにお金を落として行ってくれる上客」として認知されるようになったようだ。英観光当局も「好調なインド経済と英印二国間取引の拡大により、インド人旅行者が増えている」と分析する。またインドは昨年、日本を抜き、米国に次いで第2位の対英投資国になっている。
英国旅行者の増加には、米国での空港警備が厳しいことも影響している。ロンドンのヒースロー空港ではインド人旅行者が入国の際に問題となることはめったにない。英国の空港保安担当者も、「インド人はたいてい物腰が柔らかで、必要書類をきちんと携帯している。インド人がテロリストとして警戒されることはほとんどない」と語る。
2006年に英国を訪れた外国人観光客は過去最高の1,500万人で、前年比9.5%の増加。消費金額も75億ポンド(1兆7,900億円)と過去最高を記録した。
(INDO WATCHER 119 TOPICS)

■2007年5月
2007年5月12日
スーパーカップル、挙式

4月20日夜、インド映画界の重鎮、アミターブ・バッチャンの長男で俳優のアビシェク・バッチャン氏(31)と女優アイシュワリヤ・ライさん(33)が挙式した。同日は、ヒンドゥー暦のアクシャイ・トリティアと呼ばれる吉日。バラナシから招かれた僧侶が、ムンバイのバッチャン邸で北インド式の結婚儀式を執り行った。披露宴の出席者は、ウッタル・プラデシュ州のM.S.ヤダブ州首相やアジャイ・デヴガン、カジョール夫妻らボリウッド俳優、クリケット選手のサッチン・テンドゥルカルなど、華やかな顔ぶれ。
披露宴会場は、バッチャン邸に隣接する公園にエアコン付きの大テントを設営、赤とピンクの花々、金色と緑のカーテンで装飾を施した。花婿行列は、バッチャン家の別邸から出発。新郎は金色の縁取りをしたシェルワニ(襟付きの長いジャケット)に花冠を被り、白馬に甥とともにまたがって登場。新婦は、有名デザイナー、ニータ・ルッラーのレヘンガ(スカート状の民族衣装)を身にまとった。
会場周辺には、厳重な警備が敷かれていたが、式当日の朝、「アビシェクと結婚の約束をした」と主張する薬物中毒のモデル兼女優が会場の外で自殺未遂を図るなど、ハプニングも起きた。。
(INDO WATCHER 118 TOPICS)

■2007年4月
2007年4月11日
クリケットW杯、予選敗退でファンが暴徒化

4年に1度開催される「第9回クリケット・ワールド・カップ 西インド諸島大会」が3月11日、開幕した。予選Bグループのインドは23日、スリランカと対戦し、185対254で敗れた。既に初戦でバングラデシュにまさかの敗北を喫しており、予選2敗となったインドは、バングラデシュがバミューダに勝利したことにより、決勝リーグ進出への望みが絶たれた。
予選敗退が決まった24日、腹を立てたインド各地のクリケット・ファンは、選手のポスターを焼き捨てたり、葬列を仕立てたりして、不甲斐ない選手たちに強く抗議。初戦の対バングラデシュ戦で1点も取れなかったM.S.ドニ選手の故郷ジャルカンド州ラーンチーでは、20人以上の怒ったファンが同選手の家(州政府が支給した土地に建設中)に詰めかけ、肖像を焼くなどひと暴れ。また、前回(2003年)のW杯準優勝国であるインドが予選落ちしたことにショックを受け、ビハール州では心臓発作で死亡者が出るなど、今回の予選敗北がファンに与えたショックは大きかったようだ。
また、集まった群衆が暴徒化し、選手の自宅を襲撃することが懸念されるなど事態が深刻化する中、ダスムンシ情報・放送相は24日、「国内、海外、いずれの試合にせよ、勝ち負けはある。スポーツマン精神を尊重して、選手の家の前で抗議を行ったり、家族に嫌がらせをしたりするべきではない」と、クリケット・ファンに対して自制を求めた。
(INDO WATCHER 117 TOPICS)

■2007年3月
2007年3月12日
若いのに心臓発作を起こすインド人

米国の医学誌「アメリカ医師会誌」が1月17日に発表した研究結果によれば、インド人を含む南アジア人は、欧米や西アジアなど他地域の人に比べ少なくとも5〜10歳早く心臓発作を起こすことが分かった。
この研究は、インド、パキスタンバングラデシュネパールスリランカの5カ国を対象に、心筋梗塞早期発生の危険因子について他国と比較したもの。セント・ジョーンズ医科大学(バンガロール)、インド医科学研究所(デリー)を含む南アジア15の医療機関から心臓発作を起こしたことがある人1,732人と、ない人2,204人を選び、世界各国(52カ国)の被験者と比較した。
それによると、南アジア人が最初に心臓発作を経験する平均年齢は53歳であり、世界平均の59歳に比べて6年も早かった。
研究に参加したセント・ジョーンズ医科大学のプレム・パイス博士は、この調査結果から「心臓病は金持ちの病気」という一般認識の誤りを指摘。今回研究対象となったインド人のうち、60%は低・中所得層だった。
また、心臓病を予防する運動、果物・野菜の摂取や適度のアルコール消費(週1回)が他地域の人に比べ少ないことも明らかになった。
調査結果からは、運動不足や就寝直前の食事といった、インドを含む南アジア人の生活習慣が心臓発作の発生要因として少なからぬ影響を与えていることがうかがえる。
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■2007年2月
2007年2月15日
アカデミー賞外国語映画賞に『WATER』がノミネート

インド出身でカナダ在住の女性監督ディーパ・メータ(Deepa Mehta)の作品『Water』('05)が1月23日、第79回アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされた。これはメータ監督が製作した社会派映画、『Fire』('96) 、『Earth』('98)に続く3部作の最終編。『Water』は1930年代のガンジス河畔を舞台に、親が決めた婚約者が亡くなったことにより、慣習に従い未亡人として生きることとなった8歳の少女チューヤを中心に、同様に隠遁生活を送らざるを得なかった未亡人たちの苦難を描いた作品。出演はジョン・アブラハム、リサ・レイ、シーマ・ビシュワス。メータ監督はノミネートについて、「感激しました。この作品は私にとり非常に意味深く、ノミネートは私が望みうる最高の結果です」と喜びを表した。『Water』は当初2000年に、アクシャイ・クマール、ナンディタ・ダス、シャバナ・アズミが出演し、ウッタル・プラデシュ州ヒンドゥー教聖地バラナシで撮影しようとしたが、映画の内容に強い不満を抱いたヒンドゥー・ナショナリストから猛烈な非難を受け、製作を一時中止した経緯がある。その後2005年にキャストを一新し、スリランカで撮影された。
ちなみに、『Fire』では既婚女性の同性愛を、『Earth』ではインド・パキスタン分離独立時を背景に若者たちの恋愛感を描いている。
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■2007年1月
2007年1月
アジア競技大会でインド大躍進

カタールのドーハで12月1日から15日まで開催された第15回アジア競技大会でインド勢の活躍が目立った。インド国民の注目を最も集めたのはテニス・混合ダブルスの決勝インドVS日本の一戦。女子テニス界のスーパースター、サニア・ミルザ選手がリアンダー・パエス選手と組み、日本の岩渕・森上組をセットカウント2-1(7-5、5-7、6-2)で下し金メダルを獲得した。
また射撃では、3つの金メダルを獲得したジャスパル・ラナ選手がアジア大会でのベスト・スポーツ・パースンに選ばれており、勢いに乗るインドのスポーツ界を象徴している。
ほかにも女子400メートルリレーで日本勢を下しての金メダルというニュースもインドを沸かした。
これまで、インドは1990年の北京アジア大会では金メダル1個という惨憺たる有様だったが、今年は、金メダル10個を含め合計54個のメダルを獲得するというすばらしい成績をあげた。好調な経済と足並みを揃えるかのように大躍進を続けるスポーツ界に、国民は大いに盛り上がっている。
(INDO WATCHER 114 TOPICS)

2006年分
  3月 4月
5月 6月 7月 8月
9月 10月 11月 12月

■2006年12月
2006年12月
ブランド志向を強める中産階級

コンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパースによれば、倹約と貯蓄が美徳とされていたインドで、中産階級を中心にブランド品への関心が高まっている。
今回の調査で明らかになったのは、とくに高価なブランドの持つ「イメージ」を好み、こういった無形の価値に対しても支出を厭わなくなったということ。余裕が出てきたことで生活スタイルが変わり、ショッピングまで今までの「実用主義」から「生活エンジョイ型」に転じつつある。ちなみに今年2月にはベルサーチやクリスチャン・ディオール、3月にはフェラガモがインドに出店している。
中産階級の収入に占める可処分所得額の割合は、今後も順調な伸びが見込まれている。
なお、米調査会社アーンスト&ヤングによれば2005年現在、年収4,000〜1万ドルを稼いでいるのは4,000万世帯、2010年には6,500万世帯に増えると予想されている。
(INDO WATCHER 113 TOPICS)

006年11月
2006年11月
ガンディー、幻のノーベル平和賞

「106年にわたるノーベル平和賞の長い歴史の中で、最大の悔いは、受賞者リストにマハトマ・ガンディーの名を連ねることができなかったことです」。
今年の受賞者を発表したノルウェー・ノーベル委員会事務局長ゲイル・ルンデスタッド氏は、インド人ジャーナリストに向かってこう語ったと地元紙タイムス・オブ・インディアが報じた。
ガンディーは1937年から暗殺されるまでの1948年の間、5回にわたって平和賞の候補となっている。しかしガンディーが受賞を固辞し、さらには暗殺されてしまったため、結局彼の受賞が実現することはなかった。
また、没後に平和賞を受賞した1961年のダグ・ハマーショルド(第2代国連事務総長)という例はあるが、その後条文が変更され、当事者の死後に賞を授与しないというルールができた。このためガンディーが平和賞を受賞する可能性は永遠になくなったというわけだ。
ガンディー氏の活動にノーベル賞は必要なかったかもしれませんが、ノルウェー・ノーベル委員会としてそれでいいかどうかは疑問が残ります」と事務局長は述べている。
なお、今年の受賞者には、バングラデシュのムハマド・ユヌス氏(66)と、同氏が総裁を務めるグラミン銀行の双方が選ばれた。同氏の貧困層を対象とした世界初の小額無担保融資(マイクロ・クレジット)事業による、バングラデシュの貧困撲滅への努力が評価された。
(INDO WATCHER 112 TOPICS)

■2006年10月
2006年10月
インド人は日本を高く評価

日本がインドやアジアの国々からどう思われているのか―。気になる結果が読売新聞社と韓国日報社、ギャラップグループによる「アジア7か国世論調査」で公表された。その結果、靖国や領土で問題を抱える韓国を除けば、日本はアジアでの役割を高く評価され、信頼も得ていることがわかった。
インドから見た日本は、「良い印象の国」(96%)として、アメリカ(83%)、中国(78%)を上回っており、日印関係の現状は89%が「良い」、70%が今後は今よりも良くなると回答するなど、概ね楽観的。また、「日本がアジアの発展のために取り組むべきこと」については、貿易・経済交流の促進(71%)、経済・技術協力の拡充(78%)、労働者の受け入れ(47%)など経済協力面での期待が他5か国の中で最も高い回答となった。
また、インド人の日本への関心では、他のアジア諸国同様、現地に進出したメーカーなどの影響から、自動車・オートバイ(68%)、家電製品(56%)などで高い。その上、日本人の考え方、日本式経営についての関心については、それぞれ44%と33%と他5か国(平均22%と17%)に比べて際立って高い。
なお、「今後経済力を含めて、アジア地域で最も影響力を持つ国」として、インド人は42%が自国を推している。
*調査は今年の6月から7月にかけて、日本で約3,000人、韓国、インド、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムでそれぞれ約1,000人を対象に行われた。(INDO WATCHER 111 TOPICS)

■2006年7月
2006年7月
ムンバイのマナーは世界最悪?

世界各国で発行されている雑誌『リーダーズ・ダイジェスト』の7月号に、世界36都市で行われたマナー調査の結果が掲載され、ムンバイがワースト1という不名誉な地位にランクされてしまった。インドの有力紙タイムズ・オブ・インディアは、この調査結果に皮肉を込めて次のような論調で報じた。
「インドの金融の中心都市ムンバイは、『市民社会』のグループから、地上最悪の野蛮な都市という汚名を頂戴した。贈呈者はリーダーズ・ダイジェスト誌。マナーの専門家はリーダーズ・ダイジェストの世界観を反映したものではないといっているが、同誌のイギリス人エディターは、世界35カ国で調査した結果だと豪語している。しかし、ロンドン市民やパリ市民が受けた痛手を考えれば、ムンバイ市民はそれほど落胆する必要もないだろう。ヨーロッパで1、2を争う観光地でレディーファーストの風習がまだ残っているロンドンやパリですら、ヨーロッパ18都市中10位に甘んじているのだから。なお、堂々の1位は意外にもニューヨーク。9.11事件後、ニューヨーク市民は人生のはかなさを知り、互いを大事にするようになったということである」

なお、調査は次の3項目のマナーテストを20人に実施してもらい、「Yes」だった割合の高さによって都市をランク付けした。
1.ビルに入るとき前の人がドアを押さえていてくれるか
2.買い物の後、店員が「ありがとうございます」と言うか
3.道で書類を落としたとき拾ってくれる人がいるか

■2006年6月
2006年6月
日本、インド産マンゴーの輸入解禁

6月16日付インド主要各紙が報じたところによると、中川農水産大臣は15日、日印ビジネスサミットで来日したインドのカマル・ナート商工相同席の中、インド産マンゴーの輸入解禁を正式に発表した。1986年、寄生虫駆除技術の問題でインド産マンゴーの対日輸出が禁止されて以来20年ぶりの禁止解除で、来月からの輸入が可能になる。今年初めに訪印した日本調査団がインド側の対応をチェックし、OKを出した。今回解禁となった種類は、インド産マンゴーの代名詞となっているアルフォンソーやバンガンパリなど6種類で、出荷許可取得州はアンドラ・プラデシュ、グジャラート、マハラシュトラ、ウッタル・プラデシュそして西ベンガルの5州という。
ただし、農水産省の人によれば、インドから日本への輸送期間もあるので、日本出荷分は早熟なうちに収穫し積み込まれる。そのため、現地で食べる熟した味は期待できないとのこと。それでも、アルフォンソーはアルフォンソー、早く日本でも食べてみたいもの。


■2006年5月
2006年5月20日
調査委員会、チャンドラ・ボースの飛行機事故死を否定

17日、インド独立史最大の謎の1つであるスバス・チャンドラ・ボースの死因を調べた調査委員会の
報告書が国会下院に提出された。報告書は、「ボースは既に死亡しているが、1945年8月18日に起きた台北での飛行機事故が死因ではない。確実な証拠はなく、死亡時期と場所について明確に特定することは難しい」と結論づけた。インド独立の志士ボースは日本軍の協力を得てインド独立闘争を行っていたが、台北で飛行機事故に遭い、死亡したというのが定説。東京の連光寺に祀られる遺骨はボースのものとされているが、インド国内にはボースの生存を信じる人が今なお数多くいるとのこと。
今回の報告書の概要は次のようなものであった。
 ・インド人の平均年齢が70〜75歳であることを考えると、1897年1月生まれのボースは108歳を
  優に超えており、もはや生存していないとみるのが妥当。
 ・1945年8月17日にボースがサイゴンを飛び立ったことは確認されているが、台北での飛行機
  事故死、および遺体の荼毘は、日本の軍部が連合軍の目をくらますための作り話で、ボース
  が飛行機事故に遭遇した証拠はない。
 ・台北から姿を消したボースが、その後ロシア等に入国したとの説は、証拠不十分で確認でき
  ない。
 ・連光寺側が消極的であったためDNA鑑定はしていないが、東京の蓮光寺に祀られるボース
  の遺骨は本物ではない。
 ・調査委員会は日本、ロシアを訪問し、131人の証人から意見を聴取した。
これに対しインド政府は、この報告書に対する評価報告書を下院に提出、具体的理由を挙げず、「インド政府は、ボースの飛行機事故死を否定し、連光寺の遺骨をボースのものでないとする委員会の判断には同意しかねる」と、調査結果に反対する立場を表明している。
謎はますます深まっていきそうだ。

■2006年4月
2006年4月4日
ワシントンとデリーが姉妹都市へ

タイムズ・オブ・インディアのワシントン特派員が伝えるところによると、3月初めのブッシュ米大統領訪印で両国間に「生来のパートナー」というムードが醸成されたが、これが米国首都ワシントンD.C.とインドの首都デリーを姉妹都市にしようという動きに発展している。そのため近々、アンソニー・ウィリアムズ・ワシントン市長がデリーを訪れる。
この姉妹都市締結は両国の「友情の証」を象徴するものだが、それとは別に、財政赤字に悩むニューデリーは、格好の人物に財政建て直しの知恵を借りられるかもしれない。というのも、ワシントン市の最高財務責任者(CFO)がインド系米国住民のナトワール・ガンディ(Natwar Gandhi)氏という人物で、彼はワシントンが抱えていた5億1,800万ドルの財政赤字を12億ドルの黒字にし、手元に3億ドルもの現金を持つまでにしてしまった凄腕の会計士だからだ。彼は、名前の「Nat」をもじって「ナット・ガンディ」(なんでも"ダメ"と言うヤツという意味。「Nat」は「Not」のナマリ)の愛称で親しまれている。インド南部、グジャラート州の雑貨商の息子として生まれ、ボンベイの大学で会計学を専攻、米国会計検査院の監査役、法人コンサルタント、大学教授などを経てワシントン市のCFOに就任、同市の70億ドルにも上る予算を取り仕切り、時には州議会議員や3万5,000人の市職員をも敵に回すことを厭わない。そうやって市の財政を立て直し、大手格付け機関からもA格以上をもらうようにまでにした。以前ガンディ氏は、「IBMが50万ドル出すと言っても、自分は今の職から離れるつもりはない」と言ったが、その彼も来年6月をもって任期を終える。IBMもニューデリーも、そろそろガンディ氏獲得に名乗りをあげてもよい頃だ。

■2006年3月
2006年3月1日
チキンはダメ、マトンで我慢、訪印のブッシュ大統領

ブッシュ米大統領は、「印米関係強化」のため3月1日から3日間インドを公式訪問した。99年のクリントン前大統領以来となる米大統領の訪印だが、クリントン氏の時は今回のような核技術供与のような切羽詰った問題はなく、同前大統領は大好きな本場モノのインド料理に舌鼓を打つと共に、世界遺産のタージマハルや村落の人たちとの交流を楽しんだ。
一方のブッシュ大統領はというと、大規模な反米デモも行われた時節柄、宿泊ホテルは要塞と化したとまで言われ、厳重な警戒が敷かれた。その上、タイミングが悪いことに、インド国内で発生が確認された鳥インフルエンザのため、インド料理には欠かせないチキン料理の公式晩餐会登場はなし、と相成ってしまった。ブッシュ大統領夫妻をカラム・インド大統領が迎える晩餐会は、大統領官邸内にあり、5万平米を超える広大な敷地に今を盛りに咲く花々が楽しめるムガール庭園で催されたが、特別ディナーのメニューはマトンや魚を使ったビリヤーニやコールマー(肉団子入りカレー)が主で、それに来訪した元首の希望料理を付け加えるのが恒例となっているようで、今回は大統領の好きなブロッコリーのスープが出されたようだ。なお、ブッシュ大統領は若いとき酒癖が悪く、いろいろ問題を起こしため今は禁酒しており、したがって乾杯の時の飲み物はオレンジジュースとのこと。


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