INDO WATCHER 2012年01月号 [No.174]
特集 : インド小売事情
一般小売業への外資参入もいよいよ解禁
インドの小売業界は世界第5位の巨大市場。
その担い手の多くは中小の個人商店だが、昨今、購買力を高める中間層の拡大と共に、都市部では品揃えの豊富な大規模チェーン店やショッピングモールの出店も相次いでいる。
流通の近代化が求められる中、複数ブランドを扱う一般小売業への外資参入も解禁に向け大きく前進している。
インド進出企業に聞く─サカタのタネ
インド野菜農業の生産性向上に向けて
農業人口が全国民の6割を占め、ほぼ100%の食糧自給率を達成する農業大国インド。
農業の生産性向上が経済成長を大きく左右するだけに、厳しい環境でも栽培しやすく、市場価値の高い品種の導入は農業のみならず経済発展に大きく寄与する。
サカタのタネの初代バンガロール事務所所長を務め、現在インド営業を担当する長島寿夫氏に、現地における農業事情と同社の事業展開を聞いた。
<新連載> インド主要州概要
【第3回】 ハリヤナ州―日系企業も数多く進出するインド製造業の一大集積地
◆州の概要/主要地域・都市/政治・社会情勢/産業/インフラ整備状況/日系企業進出状況/SEZ
【図表】経済状況・インフラ環境の概要/基幹産業の優位度/産業集積地
政治・社会動向
【中央政治】 堀本 武功
◆総合小売・外資解禁をめぐる混乱、シン政権の判断ミスか
【外交】 溜 和敏
◆協力と対立がそれぞれ深化、インドと中国の不思議な関係
【日印関係】
◆日印、海上安保協力を拡大、インフラ整備で45億ドル支援
【注目ニュース】 堀本 武功
◆民主大国・汚職大国がインド・モデルになり得るか?
【主要州概要(政治・社会編)】
◆マハラシュトラ州/グジャラート州
経済動向
◆今年度の経済成長率見通しを7.5%に下方修正―財務相
◆経済減速―経済界からは景気刺激策を求める声
◆政府が公営企業の豊かな資金に注目、資金調達に活用を検討
◆会社法改正案に閣議承認、成立は時間の問題に
◆食料保証法案─閣議が承認、今国会に上程へ
◆RBIが基本金利を据え置き(8.5%)ようやく利上げの連続を停止
◆総合小売業へのFDI解禁は一旦保留、ただし、断念せず
◆WTO・ドーハラウンド、全体合意を断念
◆FDI政策、規制緩和の動きに明暗
◆ついに解禁される、外国人個人投資家のインド株売買
◆日印首脳会談、野田首相初の訪印で経済協力案件を促進
経済指標
◆月次統計 : 鉱工業生産指数/コアセクター/貿易
◆四半期・年次統計 : GDP成長率/国際収支
◆年次統計 : 実質GDP/実質GDP成長率/中央政府財政収支対GDP比/卸売物価指数上昇率/消費者物価上昇率/国際経常収支/国際総合収支/対外債務残高/対外債務対GDP/外貨準備高/対米ドル為替レート
産業動向
◆化粧品 : インドの化粧品市場、14年には2,000億ルピーに─仕事を持つ女性の購買力に期待
◆電子機器 : インドの携帯電話需要、2020年には年間3.5億台に─農村での普及拡大が次の成長要因
【図表】インドの携帯電話サービス契約数/携帯電話端末の国内販売/携帯電話端末の輸出入/携帯電話端末の平均単価/携帯電話端末の国内生産
◆産業統計
原油生産/原油輸入/LPG消費/ガソリン消費/ディーゼル消費/ナフサ消費/天然ガス/発電量/主要港貨物取扱/航空旅客人数/携帯電話契約数純増/砂糖生産/紅茶生産/織物生産/既製服輸出/ポリエステル長繊維生産/エチレン生産/セメント生産/鉄鋼製品生産/洗濯機生産/エアコン生産/冷蔵庫生産/カラーテレビ生産/商用車生産/乗用車生産/二輪車生産
マーケット動向
◆短期金利/為替相場/外貨準備高/株式/インフレ率(卸売物価指数:WPI)
【表】金利推移/コマーシャルペーパー/インド政府証券/外国為替相場(直物)/外貨準備高
【グラフ】ムンバイ平均株価/インフレ推移(卸売物価)
企業動向
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自動車(四輪・二輪・部品・その他)
<四輪>
◆スズキ : マルチ、エコカーの拡充を計画
◆スズキ : マルチのバルガバ会長、「軽自動車」のインド導入を否定
◆トヨタ自動車 : 「レクサス」を2013年にもインドに投入へ
◆日産自動車 : インドでディーゼル・エンジンを生産開始 *
◆日産自動車 : タイ洪水を受けインドからの輸出を拡大へ
◆日産自動車 : 販売ローンで国営SBIと提携
◆日産自動車 : 「サニー」ディーゼル仕様車発売
◆いすゞ自動車 : SMLIへの出資比率を引き上げ
◆BMW(独) : インドで中古車販売を開始
◆BMW(独) : インド工場、累計生産2万台達成
◆アウディ(独) : 2012年、インドで「S6」「Q3」発売
◆ジャガー・ランドローバー(英) : ランドローバーに続き、ジャガーもインドで生産へ
◆タタ・モーターズ(印) : 「ナノ」改良版発売 価格据え置き *
◆現代自動車(韓) : 「i10」LPガス車「ブルードライブ」発売 *
◆自動車の初期品質調査、マルチとトヨタが2部門でトップ
◆インド自動車工業会 1月にも乗用車の販売予測を下方修正へ
<商用車>
◆アショク・レイランド日産ビークル : 1−2年後のバス市場参入を狙う
◆現代自動車(韓) : インドへの高級トラック投入を検討
◆マヒンドラ・ナビスター : 25億ルピーの追加投資を計画」
<二輪>
◆本田技研工業 : インドを二輪の量販モデルの輸出拠点に
◆本田技研工業 : HMSI、150ccバイク「CBユニコーン・ダズラー」発売 *
◆スズキ : SMIPL、クルーザーバイク「イントルーダーM800」発売 *
◆ヤマハ発動機 : インディア・ヤマハ、年産増強に5億ルピー
<部品・その他>
◆豊田合成 : インド事業基盤を強化
◆ボッシュ(独) : 補修品販売に25億ルピー投資
◆カルナタカ州 : トヨタの部品輸出工場に優遇措置
電気・電子機器
◆パナソニック : 太陽光発電システムで官公庁にアプローチ
◆ソニー : 3G対応タブレット型端末を1月にインド発売
◆キヤノン : 小規模都市にも専売店網を展開へ
◆安川電機 : インド子会社統合で経営を効率化
◆LG電子(韓) : 2012年は投資20%増額
機械・設備
◆川崎重工業 : 掘削機用油圧ポンプ製造でウィプロと合弁
◆日精エー・エス・ビー機械 : 中国会社清算でインド工場・本社工場に生産機能を集約
◆キャタピラー(米) : 建機用エンジン工場をインドに建設へ
◆ボンバルディア(加) : ムンバイ都市鉄道整備で大型受注
◆SKFグループ(スウェーデン) : インド工場を増強
◆アヌパム・インダストリーズ(印) : 2014年度までに売上倍増を目指す
インフラ関連
◆日本政府 : デリー−ムンバイ産業大動脈開発公社に出資を申し入れ
◆双日 : チェンナイ市近郊に工業団地を設立
◆ハイデラバード−チェンナイ間の高速鉄道プロジクト、事前調査を日本企業連合が受注
◆リライアンス・インフラ(印) : グジャラート州で超高圧送電システムを稼働 *
◆アショク・ピラマル ・グループ(印) : 道路開発でIDFC・加SNCラバリンと合弁設立へ
資源・エネルギー
◆新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) : タタ・スティールのエネルギー効率を大幅に改善
◆アジア開発銀行 : リライアンス・パワーの太陽光発電所に25億ルピー融資へ
◆BP(英) : ガス事業合弁と酢酸生産合弁を設立へ
◆モーザー・ベア(印) : 太陽光発電容量30万キロワット達成に10億ドル
◆タタ・パワー・リニューアブル・エナジー(印) : グジャラート州太陽光発電プロジェクトの融資契約を締結
◆バーラト石油公社(印) : 石化プラント新設などに最大2,000億ルピー
◆インド・ガス公社(印) : LNG年間350万トンを米国から輸入へ
◆インド火力発電公社(印) : 大規模太陽光発電所をマディヤ・プラデシュ州に建設へ
化学
◆カネカ/三井物産 : 塩素化塩ビ樹脂事業でインド企業と合弁設立
化粧品
◆インドの化粧品市場、2014年までに2,000億ルピーに倍増─ASSOCHAM予想
医療・製薬
◆第一三共 : 印ランバクシー、高コレステロール血症治療剤を米国で発売
◆GEヘルスケア(米) : 低価格画像診断装置をインド農村部に投入へ
◆ルピン(印) : 日本での売上3億ドルを目指す
◆エルダー・ファーマ(印) : 日本市場参入は今年度内
◆ビビメッド・ラボ(印) : スペイン/メキシコの同業ウキファを買収売
ガラス・土石製品
◆TOTO : インド工場を建設へ
建設・不動産
◆スーパーテック(印) : 80階建て300メートルの超高層ビルをノイダに建設へ *
◆土木技師、2020年までに400万人に不足か
輸送・物流
◆日本通運 : デリー直行の海上混載サービスを開始
食品・飲料
◆ヤクルト : プロバイオティクス研究進展などで「インド科学財団」を設立
外食
◆リライアンス・インダストリーズ(印) : 2012年、ファストフード事業に参入か
医療・医薬品
◆第一三共 : マディヤ・プラデシュ州で移動診療サービス開始
◆ルピン(印) : 子会社の共和薬品がアイロム製薬を買収
◆ノバルティス・グループ(スイス) : 子会社が白内障のレーザー手術技術をインドに導入
金融・保険
◆三菱東京UFJ銀行 : GAILのパイプライン拡張に1億ドル融資へ
◆日興アセットマネジメント : アンビットと提携を強めインド関連ファンドを運用
◆バークシャー・ハサウェイ(米) : 生命保険・健康保険もネット販売へ *
◆バンク・オブ・インディア(印) : 仏アクサと資産運用合弁会社設立へ
◆タタ・キャピタル(印) : 世銀傘下のIFC、環境対応事業への融資で合弁設立へ
小売・流通
◆イケア(スウェーデン) : インドへの単独進出を近く発表か
サービス
◆ビケンテクノ : ビルメンテナンス事業を行う合弁会社設立
◆トップスグルップ(印) : 株式上場と国内事業拡大を計画 *
その他
◆フォーチュン誌「インド企業売上高上位500社」ランキング発表
◆インド国内で最も競争力のある都市は今年も「デリー」

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その他連載・コラム
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インドを動かす50人(第8回)
◆古典の巨匠からロック・スターまで〜インドのミュージシャン列伝
【表】インド音楽産業の主な媒体別売上高推移
インドひろい読み
◆私の言い分 「インドへのウラン輸出は、オーストラリア経済にとってよい影響を与える」 ギラード豪首相 ほか
◆インド紙論調 「農民の利益となるFDI政策を」
インディア・ナウ
◆2011年を振り返って (プレム・モトワニ)
味なインド
◆砂浜の屋台 *
ニュースなインド
◆女性ボディガードへの需要が都市部で増加 *
新刊案内
◆ 『日本企業のためのインド進出戦略ガイドQ&A』
著者/西村あさひ法律事務所(武井一浩、久保光太郎、吉峯亮子、迎奈央子、小林英二)
発行/中央経済社 (2011年11月) 価格/2,200円
島田卓─私の視点
明日にかける橋、の構築
2011年は、世界中で民主化運動が吹き荒れた年だった。リビアのカダフィ独裁体制があれほどもろく崩れ去るとは誰が考えたろうか。「驕れるもの久しからず」とは至言である。先進国においても「怒れる一般市民」の抗議行動が各地で頻発し、まさに「憤怒」の一年でもあった。
インドでも同様なことが起こっている。しかし、人々の怒りの矛先は、生きて行く上での自由を奪われているといった類のものではなく、くだらない政治や経済運営を行っている当事者(為政者や公職者)に対し向けられている。代表的なものがアンナ・ハザレ氏の汚職撲滅運動だが、これは「腐敗した政治家(屋)や官僚」に対するものだ。外国人である私にさえも、現職大臣を巻き込んだ億円単位の賄賂が飛び交っているとの噂が耳に入ってくるくらいだから、国全体でみたときの不正取引額は天文学的数字になるだろう。モンテック・シン・アルワリア計画委員会副委員長(委員長はマンモハン・シン首相)も国家予算(2011年度は約25兆円)の3割くらいが闇に消えてしまうと嘆いている。
しかし、ハザレ氏的に、「徹底的に相手を追い詰め、白黒決着をつける」といったやり方では、問題をこじらせるだけで、容易に妥協点は見出せないだろう。そう簡単に汚職根絶が果たせるわけがない。パーキンソンの法則にも「汚職のリスク<汚職のメリット」である限り、汚職はなくならないとある。したがって、リスクが大きくなればなるほど、メリット(賄賂額)も極大化する。そうならぬよう、適度な改善で一度折り合い、そこからまた次の改善に向けて抗議行動を起こす。これの繰り返しの方が果実(結果)を得られるのではないか。
あまり公開の場で私的発言をしないタタ財閥の総帥であるラタン・タタ氏が珍しくツイッターを使い、「若者達よ、自分たちの重大な責務を認識し、汚職撲滅のために戦え」と檄を飛ばしている。(注)その真意は、汚職撲滅は自分たちの世代で決着のつくものではない長い戦い、との認識なのである。
悠久の歴史に育まれたインドとのビジネスにも同様なことが言える。その地に根ざした取り組み方が肝要だ。ただ、それは妥協するということではない。日本目線を一度忘れ、まっさらな感覚でインドを、そして12億の民が織り成す社会文化の中で営まれる経済活動に溶け込むような自然体が必要なのではないか。 (2011年12月28日)
(注)「Ratan Tata exhorts Indian youth to fight corruption」 PTI Dec 23, 2011
島田卓 [プロフィールはこちら]
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